very japanese:お箸のおはなし①

お箸、そう言えば、昔理科の先生が山登りに行って、お箸を忘れたから、その辺の木の枝をお箸にして食べたら、漆にかぶれてしまって、どえらい目に遭った。という話をしていました。ウルシ系の植物だったんでしょうね・・・

それを聞いて、「自然って怖い・・・」とか思った私。

お箸のことを調べていると、
昔は山に行くときは、お箸はそんな風に現地調達していたらしいです。
お箸に適した細枝の木のいくつかは、ハシノキなんて、言われてたりしたそうです。
学校の先生のエピソードは怖いですが、現地調達するのは何だか楽しそう。
お箸づくりワークショップやお箸作りキットなど、手作りお箸というのも魅力ですね。

お箸が橋渡ししてくれるもの

ネットで調べるとお箸にまつわる情報はたっくさん出てくるので、
あえて私が思うお箸の面白さを先に書いておくと、

意外にも原始的な道具でもあるので、ふとお箸に気を留めると、
日本の歴史や長く続く風習にアクセスできてしまうという不思議なアイテム!
と感じました。まさに橋(ハシ)渡し
お箸の歴史を簡単に、紹介します。引用。

600年ごろ 日本の棒状の箸が使われる
平安時代(794年~)
     木製の漆椀の登場 
     庶民は竹か木の箸と木の椀を使う
平安時代後期(1150年ごろ)
     銘々膳の普及
鎌倉時代(1192年~)
     精進料理の普及
室町時代(1130年くらい)
     吉野杉箸を後醍醐天皇に献上
     本膳料理が登場
     箸紙が登場

     真魚箸/菜箸
      -懐石料理
      -卓袱料理
江戸時代(江戸中期~後期にかけて)
     会席料理
     漆の塗り箸登場
     陶磁器が一般化
     吉野杉の割り箸登場  
明治時代(1894年~)
     塗り箸が一般化
     割り箸も全国展開
昭和 
     質素でシンプルなお箸が好まれる

※情報は以下のリンク元から抜粋。
一部、書籍から引用。

https://www.hyozaemon.co.jp/culture/history/

信仰的意味の投影

神への祈りの道具のひとつ

上の図の2本がワンセットのお箸が登場する前には、アイヌのパスィという一本箸のようなものもあって、その先端にお酒をつけて、神に祈りをささげていたそうです。
その後、神饌(しんせん)という神様や神社のお供えなどでは、めし、餅、酒などコメとのかかわりが深いものがお供えになっていて、お箸も神聖な道具として使われます。

タブー・きらい箸

神様の儀礼などに用いることから、お箸の扱い方やマナーなどにタブーが多いのでは?とされていたり、各地域の魔除けや風習などもお箸には名残が多いようです。

今では、おうちの中では平気で嫌い箸をやってしまっているなぁ・・・ということも多いですね。

他にもお箸の先をテーブルにトントンとして、そろえたり、
お箸を持って「何食べようかな」という迷い箸、
お箸の反対側を使う逆さ箸、
肘をついて食事というのも、行儀良くないです。

調べるとたくさん出てくる嫌い箸。

精進料理などとのリンク

神への信仰、というと、日本古来の神道の意味合いかな?
と思っていると、
精進料理とは仏教の伝来とともに普及した食事のスタイルです。
その食事方法とともに、銘々膳、銘々箸が普及定着したという流れから、
仏教的な神聖さも加わっているのかな?
(ちょっと曖昧なのですが・・・)

そして、民俗学的な観点では、
今は迷信と言われるかもしれませんが、病気を避けるための
おまじないとして木の種類を選別していた地域もあるようです。

お箸は身近な道具であるために、いろいろな意味や言葉にもリンクが多いと思いました。

豪華な塗り箸の登場

江戸時代中期~後期に日本を代表する伝統工芸「漆器」が非常に栄えます
殿様や大名など、地位の高い人々に好まれたことから、たくさん作られるようになったそうです。
塗り箸も同じく、その時代に豪華絢爛なお箸が登場しています。日本の伝統工芸の数々はこの時期に栄華を極めて、技巧的にも極まっていくのでしょうか・・・(また、調べてみますね)

個人的に以前、福井でお箸作り体験をした若狭塗も、
江戸時代後期に最盛期を迎えた、と言われるそうです。
アワビ貝がうめこまれているきらびやかなお箸!

お箸の好みは、戦後にかなり質素なものが好まれるようになったそうです。
その後、バブル崩壊前?の好景気時代には、再び量産可能な塗の塗料が登場して、
塗り箸は全国展開していたようです。

でも、現在はどうだろう?
と考えると、また、塗というよりは、ウレタン塗装だけとか、
色柄の大人しいものが好まれているのでは?と感じたりします。

お箸の豪華さは景気と比例していたりして?
なんて予想してしまいました。

竹のお箸

当店では、現在のところ竹のお箸のみの取り扱いです。
個人的に塗り箸を使ったこともありますが、感触としては、
「毎日使うお箸はもう少し気楽なものがいい」と感じてしまいました。
それで、販売するには竹のお箸かな~と思っています。

竹は日本各地で竹林があって、「竹林のある所に竹のお箸あり」と言われるほど、日常的なお箸だそうです。
竹の縦に加工しやすい、横に折れにくい、という性質も、まさにお箸にベストな素材だったと言えます。

ハレの日には塗のお箸を、日常使いには竹のお箸がおすすめです。

日本にはお箸が適していた

中国や朝鮮半島では、お箸は使いながらも匙(スプーン)なども使って食事をしますが、
日本では、お箸ばっかり。
お箸があれば、だいたい事足りる。
という感じです。

その理由としては、
・日本のごはんはもちもちしたお米で、塊で持ちあげることができた。
・銘々膳を置いて食事をしていたので、細かい食材を器用につまんで口元まで運ぶ必要があった。
・雑炊や雑穀米などは口にお椀を当てて、お箸で掻き込む動作をしていた。
・金属の食器は湿気でサビることがあり、保管のしやすい箸が使いやすかった。
・木製の匙も、使ううちに節が出てくるので、口当たりを気にして箸が選ばれた。

などの理由があるようです。
なるほどな~。

お土産にも人気のお箸

お箸はお土産にも人気です。
今は、日本から外国へのお土産としても人気です。
当店もつい先日、ドイツに旅立つお箸を準備させていただきました。

外国へのお土産に人気なのは、なんとなくわかりますが、
日本人が国内旅行を楽しむ際にも、各地のお土産としてお箸の土産品というのはよくあったそうです。
北海道ではアイヌの木工などの細工をしたお箸や、観光名所のお参り記念としてのお箸などもあったそうです。
各地域で使われる素材が違ったり、木の彫が違ったりしたのでしょうか。
お土産ものが大好きなので、今度国内旅行に行った際は、目を光らせておこうかと思います。

それでは、お箸のおはなしはひとまず、ここまで。
また、割り箸とか、お箸のこと、いろいろ書いてみたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

参考文献:『「うつわ」を食らう 日本人と食事の文化』神崎宣武、『箸の民俗誌』斎藤たま

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