うつわの取扱い・注意点 陶器について


陶器を長く使っていくための注意点など まとめてみました


陶土と呼ばれる粘土と炎で作られる陶器。土もの。と呼ばれます。

・土や窯炊きによってさまざまな違いや特徴があり、
・同じ窯で焼かれた器にも一つ一つ違いがあります。
・使い続けるうちに変化することもある、
陶器はとても味わい深い器です。

今日はどんな器に盛り付けしようかな。
和食器は色も形も大きさもバリエーション豊かで、
和食はもちろんのこと、洋食中華など和食以外の料理でもかっこよく盛り付けられる
頼もしい器。
ちょっと料理の見た目に自信がないときでも、
陶器が引き立ててかっこよくしてくれることはよくあります。

そんな陶器ですが、使ってみると、ふと
陶器の取り扱いって他と違うの?」ということもあるかと思うので
基本的な取扱いについてまとめてみました。

かなり取説感のある記事なので、みなさんの必要なところを見つけて、参考にどうぞ♪

▼陶器と配膳についてのお話はこちらもご参考に
陶器と配膳の基礎知識

=====

【目次】

陶器ってどんなうつわ? 陶器の見分け方
覚えておきたい陶器の特徴
色シミ防止と目止めの処置
洗うとき・しまうとき
陶器と食洗機・電子レンジ・オーブンなど
陶器の修復方法について、私の経験

 


■陶器ってどんなうつわ? 陶器の見分け方


陶器と磁器、どちらがお好みですか?
食器棚にはどんなタイプの器が並んでいますか?
陶器か磁器かを見分けて、お手入れ方法や取扱いの確認をしてみましょう!

【陶器】の特徴
・うつわの底の部分、素焼きの残っている部分に少しザラザラ感が残っているもの
・指で器をはじくと、比較的低く響かない音がする
・光にかざしても多くは透き通らない
・和食器に多い

陶器の糸底
陶器の糸底

 

一方、
【磁器】の特徴
・焼が固く、陶器に比べ、目の詰まった感じがする
・指ではじくと、高くて響く音がする
・純白色が多い
・洋食器に多い

指ではじく音を比べると全然違うので、試してみてください。
一度それぞれ違いを見ておくと、お店で見る時やプレゼントでもらった時も
見分けがつきやすくなると思います。


■覚えておきたい陶器の特徴


■表情の違い
さいえで扱う陶器のほとんどは製造の際、人の手が加わっています。
器によっては、ほぼ手作業で作られているものもあります。
そのため、一つ一つ少しずつ違いがあり、表情と言ったり、景色と言ったりします。
カケや、虫食い(釉薬のかからなかったところ)も愛着を持って、景色といいます。
不良品ではなく、味わいとして見るのが、日本らしいですね。


□色やフォルムに違いがある


□釉薬のかかり方や表面の模様などに個性があります。

それぞれにある違いや個性は陶器の魅力

人によって好みも様々なので、お店で選べる時は、
自分のお気に入りを選んでみてください。

■貫入(かんにゅう)
茶渋がしみこんだ貫入
茶渋がしみこんだ貫入

□貫入とは
陶器の釉薬(うわぐすり)に入る細かいヒビのことを言います。
ヒビ割れと違い、焼成後の温度差や経年によってできるものです。

貫入の注意点

貫入が進むこと色が染み込むことに注意!

・買った時からしばらくして見ると、貫入が進んでいる場合がある
・電子レンジや食洗器で急激な温度差が生じた場合は貫入が進む可能性がある
・貫入によって、器の雰囲気が変わる。(電子レンジなどでは、急に器の雰囲気が変わってしまうことがあるので注意!)
・食べ物・飲み物の色などが入り込むことがある
(苦手という方は目止めの処置など、お手入れをしてください。)

貫入は器によって、大きいもの細かいものといろいろです。
買う時に見えにくい貫入もあるので、じっくり見てみてくださいね。

表面の貫入
表面の貫入

器を育ていく、という感覚で変化も楽しんで大事に使ってください。

 

■吸水性
陶器は磁器に比べ、低温で焼成されてるので土の風合いがあります。
内部の密度も磁器に比べ低いので、小さな隙間があったり、空気が残っているため、
水を含みやすい性質になっています。
貫入から水分が染み込み、色が変わったように見える器もありますが、
底から水がしみ出てこない限り不良品ではありません。


素焼きの部分のある食器などでは、水止め処置をしてくれている器もあります。

 

□色染み予防には、
盛り付け前に、さっと水にくぐらせておくと、色染み防止になります。
こちらも目止めの処置(後述)をおすすめします。

ちょっと高度なテクニックとしては、

専用でうつわを使うことで「器を育てる」という方法があります。
お酒などの透明な飲み物はいつも同じ器を使って、味わい深い貫入を育てる。という方もいました。

これはコーヒーや紅茶では色が濃すぎておすすめできませんが、
「貫入を育てるための専用の器」というのはなかなか優雅な楽しみですね。

 

■カケ


先ほど述べたように密度の低さから、陶器は軽くぶつけた時、
派手に割れるのではなく、小さなカケができます。

和食器の考え方では、「カケも景色」
危険でなければ、そのまま使います。
または、破片があれば、とっておいて金継など修繕します。

貫入と同じく、カケもどうするかは好みです。
大事な器だったら、修繕すれば魅力アップするので、金継もおすすめです。

金継した器を紹介したブログ記事▽
金継の器が帰ってきた

 


■色シミ防止と目止めの処置


色染み・汚れ防止に
「目止めの処置」をしていただくと、色染み、汚れ防止や臭い防止になります。
陶器の表面の粗い目をお米のでんぷんで埋めて、色や臭いの侵入を防ぎます。
基本的には、「買ってきた後、使い初めの前」とおすすめしていますが、
時間に余裕のある時など、使用途中でも大丈夫です。
(一度で目が止まらない場合は繰り返し目止めの処置を行ってください)
▶目止めの処置
1 大きい鍋に、器と米の研ぎ汁(もしくは水とかたくり粉または小麦粉)を器がかぶるくらい入れる。
2 火にかけ、沸騰後20分ほど弱火で煮沸する。器がカタカタしないよう気を付けてください。
3 そのまま常温で冷ましてから洗い、よく乾燥させる。(食器乾燥機は使用しないでください)

目止めの必要のない商品も多くありますが、粉引や貫入のある商品であれば、
目止めの処置をしてからご使用になることをお勧めします。

▶使用前の汚れ防止
きれいな水に5分ほど浸し、水を吸わせてからご使用になるだけでも、汚れの侵入を軽減できます。
焼き締めのものや貫入のものは汚れが付きやすいので、毎回使用前にきれいな水を吸わせてから使用するといいでしょう。
このひと手間だけでも驚くほどの効果があります。

私は流水でさっと流すこともありますが、効果があるのかは・・・
不明です。

▶表面の茶渋
残念なことに、貫入に浸みこんだ茶渋は落すことはできません。
表面の茶渋であれば、メラミンスポンジでやさしくこすれば落ちます。キズを付けないように気を付けます。

▶重層・漂白剤など
どうしても汚れが気になる場合は、使用方法を守って、重層や漂白剤をお使いいただいても良いと思います。
ただし、つけ置きなどはしないようにご注意ください。


■洗うとき・しまうとき


陶器は手洗いがおすすめ
台所用の中性洗剤とスポンジで洗い、乾いた布で拭き、よく乾燥させてから、収納してください。
無釉のうつわ(焼き締めの器など)は、タワシでごしごし洗ってもOK・食洗器も日常使用程度であればOKです。
※不十分な乾燥は、カビや臭いの原因となります。
特に、「土見せ」と呼ばれる釉薬のない器の裏などは、カビになりやすいのでご注意ください。
黒ずんだカビの落とし方は、心得ておりません…。
土見せもタワシで汚れを払うことができます。

土見せになっているお皿の裏側
土見せになっているお皿の裏側

 

よく乾燥させた後、食器棚にしまう際は、形の違うものなどは、無理に重ねず、収納してください。
土見せのうつわや三つ足の器など、底がザラザラしていてる場合、
キズを避けるためにキッチンペーパーや布巾などを挟むのもおすすめです。


■陶器と食洗機・電子レンジ・オーブンなど


■電子レンジの使用について

電子レンジの使用は、おすすめしていません。
使用している土や、かかっている釉薬によっても、電子レンジには向き不向きがあります。
先に書いたように、陶器の内側には空気がふくまれています。
急加熱・急冷はうつわへのダメージ大きいです。
陶器の中でも、焼き締めなどしっかり目の詰まったものはあたため程度に使用可のものがありますが、
迷う場合は器のダメージを考慮して、なるべくレンジは使わないほうが良いです。

 

▶お客様から聞いた、電子レンジでのうつわのトラブル

粉引が黒ずんだ??
粉引という粉を引いたような白い釉薬のうつわを、ご購入されたお客様がいました。
後日、「電子レンジにかけたら、カップの色が黒ずんでしまった・・・」と、聞きました。
粉引など、白くて、繊細な釉薬のうつわは、特に急冷・急加熱に弱いです。
普通なら何年もかけて出てくる貫入が、あっという間にすすんでしまったり、
きれいな白がワントーンしずんだ色になってしまうことも、たびたび聞きます。
加熱から、さらに調理にいたるような使い方をしてしまうと、割れてしまう器もあったと聞いたことがあります。

不便かもしれませんが、電子レンジは加熱用容器に移し替えて、お使いください。
丁寧に扱えば、貫入も美しく育てていけますし、愛着も出て、器が食卓のパートナーになっていきますよ。

 

■食器洗洗浄機について

こちらも電子レンジとほぼ同じで、おすすめしていません。
こちらもうつわによって向き不向きがあります。
陶器に関しては、手洗いがおすすめです。
洗浄機の中で器同士がぶつからないようにセットしていただければ、大丈夫なものもあります。
(磁器や焼き締めの器など。)
器に関しては、お店などにご確認いただいたり、食洗機の取扱説明書などをご確認ください。

 

▶お客様から聞いた、食器洗洗浄機でのうつわのトラブル

粉引の表面がザラザラに・・・。
このトラブルも粉引です。結婚祝いにもらったお茶わんを毎日食洗機にかけていた、というお客様。
ふと気が付くと、なんだか表面が最初に比べてザラザラしてきている・・・と感じたそうです。
よく聞いてみると、そのうつわは、粉引でした。
食器同士がぶつかっていたせいか、水圧のせいか、もしくは食洗機の中で、食べ残したものが表面を削るから?なのか、
原因は特定できていませんが、粉引の表面が少しずつ削り取られてしまっていたようです。
毎日使うお茶わんだからこそ、日々の積み重ねでザラザラ化してしまったのかもしれません。
もしかすると、粉引以外のうつわも、表面に傷がついてしまっているかもしれません。
面倒ですが、手洗いで器の様子をチェックしてあげてください。

 

■直火・オーブンについて

直火・オーブンは基本的には破損の恐れがありますので、お控えください。
但し、直火・オーブン可。という表示があるものは、表示内容に従ってお使いくださいませ。


■陶器の修復方法について、私の経験


陶器は、カケることもありますし、割れることもあります。
小さなカケであれば、そのまま使っています。
欠けた部分が残っていれば、手っ取り早い方法では、陶器に使用できる接着剤を使ってみることも一つの方法です。
ですが、予想できる通り、何度も使ったり洗ったりしているうちに、接着していた部分が外れてしまう・・・
ということも大いにありますので、ご注意ください。

また、カケだけであれば、金継、銀継、漆継。という方法があります。

漆屋さんなどでは、修復をしてもらえる場合がありますが、
「カケであれば、1カケ1000円~2000円、割れであれば、1筋1000円~2000円くらいです。」と、
だいたいのお値段を教えていただきました。

別の漆継をされている方に、少し話を聞くと、、
「継いだからと言って、元の丈夫さに戻るわけではない」と、おっしゃられていました。
直したら、直す前よりももっと丁寧に扱ってあげてくださいね。

 

こちらは、金継を依頼した自前のカップです。

カップ自体は600-700円のカジュアルなもの。
金継は他のカップも合わせて5点依頼して、まとめて1万円でした。
(いろいろ状態の悪いものもあったので、これでもかなり安くしていただきました。)
値段はしますが、器がグレードアップする妙がすてきです。

金継のことを書いたブログ▽
金継の依頼してきました
金継の器が帰ってきた

 

■最後に

陶器は、難しい・・・と思われたでしょうか。
陶器は、避けて通れぬ、こわれもの。です。
それでも長く大事にしたい。
皆様がすきな器に出会えますように。
ごはんがおいしくなりますように。

タグ: